というのは、新郎が元受刑者ということで、親族が一人もいない披露宴。
でも、私が見てきた披露宴の中で一番、心温まる、そして希望に満ちた空間でした。
新郎、新婦は敬虔なクリスチャンであり、二人の間には愛と揺るぎない信仰があります。
新郎は刑務所の中でマザーテレサの本と出会い、心揺さぶられ、いても立ってもいられずに
著者に手紙を書いたそうです。
刑務所の中で初めてマザーテレサの存在を知った彼は、弟子になりたいと思ったと言います。
しかし、もうこの世にはいないと知ると愕然とし、それでも何とか教えを乞いたいと
紹介された修道女と文通をすることになり、それがきっかけで刑務所の中で聖書を読むようになったそうです。
再犯を繰り返し20年以上も獄中生活をしていた彼は、ある日啓示を受け決心します。
刑務所から出所した人達を救いたいと思ったと言います。
刑を終え、出所しても、働く場所がない、身内とは縁を切られて頼れる人がいない、お金もない、
住む家もない、経歴が人間関係を邪魔してしまう、世の中の流れについていけない、、、、
結局、刑務所の方が楽だといって、再犯に繋がってしまう。
刑務所に戻って来る受刑者達を見て、また、刑務所内の過酷で悲惨な状況を知り
自分の出所後の役割を覚悟したと言います。
彼は刑務所の中で年老いてガンにかかって行く人、痴呆が進み徘徊する人などを
介護してあげたそうです。といっても十分にしてあげられなかった事が悔やまれるとのこと。
今、彼はNPO法人を立ち上げるための準備をしているのですが、応援している人達の顔ぶれが凄い。
彼の身元引受人は国際弁護士として活躍するベテラン。
彼は今、民間非営利団体マザーハウスの代表として受刑者達の更生支援や社会復帰支援の為
全国を駆け巡っている。
修道院で出逢った新婦は夢の中で彼と結婚するようにお告げを受けたらしく、
自分の理想とする男性とはかけ離れていたものの、彼女も決心して彼を支えて生きることを選択したということです。
この若く美しい新婦は、新郎を良く言わない人がいると、必死になって彼を擁護するそうで
その健気な姿に感動した人達が、披露宴会場で大きな拍手を送っていらっしゃった。
本当は二人でひっそりと式を上げるつもりでいたとのこと、
しかし、出所してきた人達に希望を与えたいと、思い切って盛大な披露宴を上げることにしたと言います。
元受刑者でも、こうして結婚できるんだ!そして父親になれるんだ!!幸せになっていいんだ!
ということを具体的に示したいとあげた結婚式と披露宴。
日本で一番大きい境界、東京都四ツ谷駅前の聖イグナチオ教会で挙げた結婚ミサは厳かで、本当に素晴らしかったです。
司祭さまの言葉も心に染みました。
一人の人間の存在価値について、人は皆、かけがえのない存在。
学歴とか、家柄とか、容姿とか、経歴とか、、、外側では測れない。
魂は皆等しく貴い。世界に二つとない、唯一絶対の存在。
その存在を互いに慈しみ合い、愛し合い、与え合い、神様に喜んでいただけるような過程を築いて行って下さいと。
洗礼を受けた者同士の本当の誓いを、多くの参列者達が見守り、承認しました。
私も司会をしながら、おふたりの永遠の幸せを祈りました。
お色直しの後、私の歌のコーナーがあり、ピアノの弾き語りでオリジナル曲を2曲歌わせて頂きました。
会場のみなさんが、真剣に聴いて下さり、また演奏後にたくさんの方々に声をかけて頂き、
恐縮してしまったくらいです。
来年3月には新しい家族が誕生します。
そして民間非営利団体マザーハウスがNPO法人となる予定です。