色々あったから。
来月から長男は高校生。
主人のお墓参りに行く途中いつも通っていた高等学校に、縁あって通うこととなった。
主人が亡くなった後、一番ダメージが大きかったのが長男。
10歳の少年の、その小さな胸の奥に、私も立ち入ることの出来ないほどの深い悲しみがあった。
火葬の前日「お父さんを燃やしちゃうの?」としくしく泣いた。
壊れてしまうのでは、と、私も心配したが
遺骨を拾いながら、勝ち誇ったように言った
「ざまぁみろ!ガンも燃えちゃった、これでお父さんもう苦しくないね」
驚いた。何か吹っ切れたんだろう。
亡くなって1ヶ月ほど経って、近所の方が長男に声をかけて下さった
「子供は親を選んで生まれて来る」と。
それがまた一つ彼を強くした。
ある日、思い切って長男に尋ねてみた。
「優太はもう大丈夫?」
すると、視線を外らしながらも彼は言った。
「お母さん、あのさ、子供って親を選んで生まれて来るんだって。
お父さんは早く死んじゃったけど、早く死ぬお父さんを選んだのは僕なんだ
自分でそう決めたんだからしょうがない。
あのお父さんで良かったって思う」と。
あぁ~、大丈夫。こうやって乗り越えて行くんだ。
10歳にして与えられた試練。
だが、それを乗り越えられると信じて、彼自信が自分に課した試練。
それほど彼は強い魂を持っていると、信じたい。
いつでも見方になってあげよう。
名前の如く「優しい太郎」:優太
私が疲れて居間で横になっていると
「こんな所で寝てないで、ベッドで寝たら?」などと声をかけてくれる。
時には黙って布団をかけてくれる。
背が低くいのに、バスケットボール部で3年間、体を鍛えた。
クラスでも一番背が低い。
だけど私は「小さな巨人」と呼ぶ。
彼の優しさは私が一番知っている。
主人が亡くなってから、私がアクセル全開で走り続けてきたから
ゆっくり話し合う時間も取れないまま来てしまった。
色々と相談したいこともあっただろうに・・・
ゴメンネ。
「子は親を選んで生まれて来る」
こんな私を母として選んでくれた。
私の元に生まれて来てくれた。
主人を亡くす私の人生を承知で、寄り添うために生まれてきてくれた。
ありがとう。
卒業おめでとう。