「KOREA」
日本でのタイトルは「HANA~奇跡の46日間」
はな とは一つという意味です。
1991年、千葉県幕張で開催された世界卓球選手権に史上初めて南北の単一チームが出場し
優勝した実話を元にした映画。
今、朝鮮半島の北と南が一つのチームを組むなんて考えられないでしょう?
でも、21年前、本当にあったんです。
試合に向けて、南北統一チームが日本で強化合宿をする46日間のストーリー
はじめギクシャクしていたメンバーが、だんだん心を通わせるようになっていく分けですが
その中のセリフが、とても感動的で心にズドーンと響くんです。
後半からは泣けて泣けて仕方なかった・・・・
会場からも涙を拭う音が絶えず、会場そのものが泣いているようでした。
60年もの間、一つの国が分断されたままの状態にあるなんて
世界にこの国だけでしょう?
同じ言葉を話す、同じ民族が、38度線で真っ二つに分かれている。
日本が関東辺りから北と南に分かれて、全く行き来が出来なくなるなんて
親しい友達や親族と音信不通になったまま 長い年月が過ぎていくだけなんて
有得ないでしょう?
でも実際に南北問題は解決されないまま60年以上経っているんです。
この映画では、卓球を通して、人と人とが一つになっていく。
バックにそれぞれの国を背負ってはいるのだけれど
人間同士の心と心は分断なんか願ってはいない。
一つになりたがっている。
試合のシーンも迫力満点でしたが、やはりセリフに心を揺さぶる力があった。
北の選手が肝炎だと知ると、南の選手は
“南の方が豊かだから、南に来れば治療が受けられる”と言う。
すると、北の選手がこう問うんです。
“じゃぁ、あなたはアメリカに行くの?アメリカは韓国より豊かでしょう?”と。
あぁ~、祖国を愛するってこういうことなんだぁーと思いました。
或いは、平和な日本で生まれ育った私には理解できない
もっと奥深い所から出てきた言葉なのかも知れないですが・・・
何だかショッキングな言葉でした。
また両チームを率いる北側の監督の言葉。
“私は偉大なる金日成主首領の為に命を懸けてきた男だ。
忠誠心は骨の髄まで沁み渡っている。
でも、今回だけは、自分の声に従うつもりだ”と。
その言葉に対して
「あなたを見なかったことにする」と言って北の保衛隊が
ホテル内に監禁されていた北の選手たちを試合会場に送り出すシーン。
大雨の中、試合会場に向かうバスに南北の選手たちが一緒に乗り込む場面を
北側の上層部が黙って見ているんです。
あのバスの中に38度線なんかなかった。
試合会場では南北の統一が実現していた。
選手達だけではありません。
当日の会場には在日の方々が大勢応援に来ていらして、
日本国内なのに、物凄い声援を受けて選手たちが120%の力を発揮していくんです。
あの場面に、大きな可能性を感じました。
作り話ではなく、「事実」なんです。「真実」を観た気がしました。
いつも中国チームから見下ろされていたのが、その時は一番高い表彰台で
金メダルを授与され、南北の選手が抱き合って喜ぶ。
スポーツ映画の持つスリル感、緊張感と共に、
国が抱える歴史的背景も盛り込まれ、簡単には解決しない国際的な問題や、
複雑な感情など、本当に味わい深い映画でした。
そして驚きは監督がまだ32歳。
しかも初監督でこれだけの作品を発表してしまった。
“たくさんたくさんの涙を流しました。有り難うございます”と、
直接、ムン・ヒョンソン監督に伝えました。日本語の名刺でしたが受け取って頂きました。
とにかく、是非一人でも多くの人達に見て頂きたい。
日本人であれ、韓国人であれ、何人であれ
この映画を観たら、“私は私として信念を持って生きて行こう!”と
元気を貰えるような気がします。
来年の2~3月くらいに上映される予定です。
TSUTAYAなどのビデオレンタルで済まさず、これは映画館で見て頂きたいと思います。