1月8日(日)
浦和駅から徒歩8分くらいの場所にある、さいたま市民会館うらわで
大田篤さんの講演会が行われ、スタッフとして参加して来ました。
会場に着くまでの電車の中で藤原正彦氏の『 国家の品格 』を読みました。
既に7年も前に発行された本です。
大好きな本で、時々読み返すのですが、朝、家を出る時、ふと手にして
鞄に入れました。
車内で読みながら、涙しました。
例えば皆さん、桜の木を見て、何を感じますか?
私の四番目の子が一番最初に覚えた言葉が“ きれい! ”でした。
桜の花を見て“ちれぇ~、ちれぇ~”と、喜んでいました。
たかが1歳の赤ん坊ですよ
日本人のDNAでしょうか。
この本の中に「日本人の特有な感性」という項目があります。
例えば「虫の声」。海外ではノイズとして受け取られてしまう。
日本人はそこに「秋」を感じる。
枯葉を踏みしめながら「秋」を感じる。
同じ雪でも、細雪、ドカ雪、牡丹雪、粉雪・・・という言葉で様々に表現する。
桜の花が本当に綺麗なのは、たった3~4日ですよね。
日本人はそのたった3~4日の美しさの為に日本中に桜の木を植えているでしょう?
たった3~4日に命を懸けて、潔く散って行く桜の木に、人生を投影し、
そこに他の花とは違った別格の美しさを見出し、ついに国花にまでしてしまう。
「 もののあわれ 」の感性は海外にはないと言います。有っても、日本ほどではないでしょう。
人間の儚さや、悠久の自然の中で移ろいゆくものに美を発見してしまう。
ものが朽ち果てていく姿を見れば、誰でもこれを嘆きます。
けれど、その儚いものに日本人は美を感じる。
儚く消え行くものの中にすら、美的情緒を見い出してしまいます。
こんな美しく、情緒豊かな日本が、どうして戦争なんかしてしまったんだろう・・・
どうして「虫の声」をノイズと捉えてしまう様な国に負けてしまったんだろう・・・
誰の涙か分からないけれど、私の中の奥深くから、やり切れない思いがこみ上げてきてしまったんです。
昨年はいろいろな講演会や書籍から、戦後いかに日本がアメリカにコントロールされてきたかという事実と実態をを知らされ、目が覚めた一年でした。
東日本震災後、世界中が日本を注目していましたが、我々日本人の行動に世界は驚いたと言います。
例えば津波で流された金庫の9割は、持ち主の手元に戻ったという事実。
強盗、略奪がそれほど問題にはならなかった事も。
拾った金庫を持ち主に届けるのは、当前の事ですよね、
そんな当たり前の事が、世界では驚くべきこととして捉えられてしまう。
支援物資も、我先に!と群がってこない。
両手を合わせ、ありがとうございますと深々と頭を下げて受け取る。
中には、“こちらよりあちらの避難所の方が足りなさそうなので、そちらをお先に”
と、譲ることが出来る。
ぎりぎりの精神的、肉体的状況の中で日本人が示した思いやりの心
日本人の精神性の高さに、世界が感動したと言います。
我々日本人も、改めて日本人としての誇りを取り戻したのでは無いでしょうか
海外からのニュースでよく見る映像ですが、
天災で家族を失って、天を仰いで泣き叫ぶ遺族たちの様子
日本人の悲しみの耐え方も、世界の方々にしてみれば驚きだったようです。
悲しいのは私だけじゃない。
もっと辛い立場の人を察してあげる事が出来る、
相手の痛みを自分の痛みとして捉えることが出来る、
皆さんも被災地に行けなくても、何かせずにはいられなかったでしょう?
自分に出来る事は無いかと考えたでしょう?
私達が極々自然に取っている行動が、もしかしたら
世界の人々の良心にスイッチを入れて行けそうな気がします。
昨年ワールドカップサッカーで優勝した、なでしこJAPANの選手達も
“震災後の今、メダルを持って帰らずしていつ取るんだ?”と言い聞かせながら
ピッチを走り続けたと言います。
澤選手が“苦しい時は私の背中を見なさい!”と後輩達に言ったという話も有名ですよね
世界に日本の精神、武士道や礼儀の正しさ示した一年だったと思います。
物質文明はこれ以上、今以上、栄えなくてもいいのではないでしょうか・・・
私が子供の頃より、それはそれは便利な世の中にはなりましたが、
なんだか怖いです。
手間暇かけて造って頂いた物を受け取った時の、
嬉しさ、有難さ、喜び、
逆に、手間暇かけて造っている時の充実感等々・・・
誰かに助けて貰った、あるいは誰かの為に役立てた、
そんな充実感は
お腹が満たされた時以上の満足感に繋がりますよね。
物で満足する時代が終わりを告げようとしている気がします。
電車の中で読んだ「 国家の品格 」から色々な事を感じました。
そして、大田篤さんの講演会では、正に私が車内で感じた事を裏付けてくれるような内容でした。
この会場でも不思議な体験をしました。
大田先生の講演会の内容はあまりにも膨大で、かつ 深いので
追ってご紹介して参ります。