長女の大学入学式の為にスーツを買ってあげようと二人で出かけた。
例年よりも早く咲いた桜が街中を春色に染め、どこに行っても桜が目に映る。
車で桜並木を通った時、長女はぼそっと言った。
「桜のない国は可愛そうだね。
桜を国花として選んだ日本人の感性は素晴らしいね。」 と。
随分大人びたことを言うようになったものだと、
彼女の横顔を見ていると、更にこんなことをつぶやいた。
「私は満開の桜よりも、散る桜が綺麗だと思う」 と。
儚さの中にも 潔さを感じるとの事。
美しい日本女性として成長した娘の姿を主人にも見せてあげたかったと
ふと そんな風に思った。
大学合格おめでとう。