2011年6月15日水曜日

No9 2年半ぶりのピアノ調律

前回の調律から既に2年半・・・

2年前の今頃は、主人の放射線治療真っ最中でした。
当時主人は生きる気、満々でした。

主人が5年前に買ってくれたピアノ。

余命を宣告された主人の闘病生活を支える中、不安に押しつぶされそうになると、すがる様にピアノに向かっては、その音色に癒されて、気持ちを立て直していました。

主人の通夜と告別式で、葬送歌として私が伴奏を弾き長女がフルートを吹きました。
曲は「朧月夜」です。

主人が亡くなった後、様々な事務処理で忙しくしていました。
司会の仕事も積極的に入れ、なるべく人前に立つようにしていました。
教習所にも通い、車の免許も取得しました。
娘の高校受験があり、中学の卒業式があり、高校の入学式があり、悲しんでいる間もないようにと、あえて忙しく過ごしていました。

でも悲しみや寂しさというものは、ふとしたきっかけで突然、波の様に押し寄せて来るんです。
ずうっと悲しいわけじゃなくて、いきなりスイッチが入ってしまい、そうなるとあっという間に目頭が熱くなり、所構わず泣いてしまうんです。

バスや電車の中、スーパーの店内、車の運転中、人目もはばからず、泣きました。
泣いたらあの世で主人が悲しむと思いながらも、涙を抑えることが出来ませんでした。

もちろん子供達の前では泣いた事はありません。

気が付くといつもピアノの前に座っていました。
鍵盤が涙で滲んで見えなくなり、弾き続ける事が出来なくなることもしばしば。

一番しんどい時、わたしの側に寄り添ってくれたのは、やはりこのピアノでした。
私の心の細かいひだをいたわるように撫でてくれました。
このピアノは、必死になって私を支えてくれました。

生きる勇気、希望、喜び、奥深さ・・・
ピアノを習った事も無いのに、私にとってピアノは人生から切り離せない体の一部です。
どんな時も味方になってくれました。
私の一番の理解者です。

それなのに、気が付くと2年半も調律せずにいました。
この2年半で、作った曲が8曲。
このピアノとの共同作品です。
自分で作曲したというより、ピアノが私に与えてくれた応援歌です。
まずは私自身が自分の曲に癒されてます。

今日の調律師は若い女性でしたが、3時間かけて調律してくれました。


調律を終え、元気になったピアノに
「これからもよろしくね!」とレイキを送りました。