2012年5月28日月曜日

No25・ホスピタリティ


先日の高野登氏と鎌田洋氏の講演会ですが、

高野さんの話の中に、もう一つ、はっとさせられた事があります。

相手の立場に立って考えてみる とはどういうことなのか?

例えば、カーテン越しに、3人いて、その人達がハサミを必要としているので

ハサミを3つ用意するように頼まれた時に、どうしますか?という問いかけがありました。

皆さんはどうされますか?

普通にハサミを3つ用意しますよね?

ところが、カーテンを開けてみると3人の内、

一人は左利き、一人は盲目の方、一人はまだ小さな子供

左利き用のハサミ、

目が見えなくても、安全して使えるように工夫されたハサミ、

子供用サイズの安全なハサミ

それらを用意してあげる為にはどうすれば良かったのでしょうか?

コミュニケーションがちゃんと取れていたなら、それは可能だったかも知れません。

ちょっと考えて、どんなハサミが必要でしょうか?と一声かけてみる。

その一歩が踏み出せるか、どうか。

その話から、「サービス」と「ホスピタリティ」の違いについて学びました。

サービスとは約束を守る。当然の事を当然の事として行う。

ホスピタリティとは、相手の立場を想像して、どうするのがベストかを考えてみる。

一歩、相手に歩み寄ってみる。

相手の期待を上回るには、まず相手を良く知らないといけない。

良く知る為には、関心を持たなくてはならない。

相手へ思いやりをもつという事なんですね。

言われる前に、欲する事を想像して、動く。


日本の製品は性能は良いけれど、使う人の立場にとっては使い辛いという事で、

海外からの評価は低いそうです。

使用する側の立場に立てなかったら、どんなに技術が優れていても

現場では活かされないという事です。

例えばアフリカでエアコンがかなり売れるらしいんです。

そこで、質問です。

アフリカ人が、夏に恐れるものは何でしょうか?

想像してみて下さい。

アフリカ人の立場に立って考えてみましょう。

答え マラリア。

となると、省エネ機能とか、値段とか、形とか、保証期間とか、よりも

マラリアのかかりにくい工夫がされた製品の方が、よく売れるという分けです。

マラリアにかからないような工夫って?

マラリアを運ぶ虫たちが嫌いな周波数を流し続ける機能。

中近東では、サムソンのテレビがよく売れているそうです。

何故か?サムソンの製品は

お祈りの時間になると、番組の途中でも「コーラン」が流れるらしいのです。

日本のパナソニックは高性能ではあるけれど、現場の状況を把握していない・・・

ドバイ空港では、祈祷室がたくさん設置されているとの事。

祈祷が日常の人達が、落ち着いてお祈りできるよう、配慮されているそうです。

時間ごとに祈祷する習慣の無い日本人にとっては、なかなか想像つかない事ですよね。

例えば、「美味しい物を提供する」 というと何を想像するでしょう?

では 「美味しく物を提供する」 というと何を考えますか?

一文字違うだけで、全く違ってきませんか?

美味しく…というと、器やテーブルクロス、証明、座り心地の良い椅子、BGM、等々

色々と工夫しますよね。

もしかしたら、出来合いの総菜を買って来ても、それをどのように提供するかで

心のこもった格別の味に変わってしまうかも知れませんね。

「相手の為に」 よりも 「相手の立場に立って」 という発想で行動した方が

コミュニケーションがよく取れると思います。

ホテルマンにだけ必要とされるものではなく、

一人の人間として、家庭内で、職場で、学校で、地域で、社会で

活かせたら素敵ですね。

実は、一番身近な家族とのコミュニケーションが何より大切かも知れません。

家族なんだから分かってくれているはず・・・と思いきや、

案外、すれ違いが多く、“どうせ分かってくれない”と会話を避けるようになるケース。

親の立場を考えて振舞う子供は、そうそういないでしょうけれど

親が子供の立場を察してあげることは出来るかも知れませんね。

親も以前は子供だった分けですから。

殺伐とした世の中で、潤いを感じられる瞬間は

相手の温かい心遣いを感じ取った時。

そんな瞬間を少しずつ増やしていけたらいいですね。